昔のイライラが蘇った話

嫌なことを思い出して嫌な気持ちになる経験は、誰もがしていると思います。
では、その当時と同じくらい嫌な気持ちかといえば、嫌だという感情のレベルは当時より下がっています。
ASDの子は、嫌なことがあった時の感情をずっと同じレベルで持ち続けるそうです。
嫌なことを思い出して嫌な気持ちになることは、共感できますが、
同じレベルで持ち続けるのは、特性だと理解していました。

先日、Aさんとお話をしていた時のこと。
一緒に仕事をしていた方で、当時、とある機関とやり合っていた話になりました。
あんなことやこんなことがありましたねー。なんて話をしているうちに、
当時のことが思い出され、段々イライラしてきました。
そのことを伝えると、Aさんもイライラしていたようで、
あれやこれやとイライラした感情のまま、話が進んでいきました。

Aさんと別れて、話していたことを振り返っているうちに、
当時感じていたイライラと同じくらいイライラしていることに気付きました。
ASDの子たちが感じているものと同じとは言いませんが、
初めて、彼らが感じているものを理解できた気がしました。

私は、ASDと定型発達の差は、「程度の差」だと思っています。
例えば、パニック。
パニックそのものは、定型発達の人も起こします。
施設で働いていた時に、転んで骨折した職員は「折れたー。痛いー。」と、朝4時に叫び続けていました。
夜勤で仮眠していた職員全員が、びっくりして飛び出してきたほどです。
予想外の出来事が起きた時に、ASDの子は叫んだり自傷したりと見て分かる表現をしやすいだけで、
冷静な判断や行動が出来ないのは、定型発達もASDも同じなんだと思うのです。

そう考えると、ASDは定型発達の世界からかけ離れたものではなく、
実は紙一重なものだったりすると思うのです。

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