支援者としてレベルアップする方法③
支援者としてレベルアップする方法その③は「単純化」です。
一言でいうと、問題を切り分ける作業ですが、やってみると結構難しいです。
定型発達の世界で生きてきた人にとって、経験の少なさが原因だと思っていますが、
支援の世界ではよくあることで、意識して取り組む必要があります。
褒めるのが難しいのも同じ理由です。
子どもの時は、褒められるより注意される回数が多くて、すごく頑張ってもちょっとした評価しかもらえない。
大人になったら、褒められることなんかまずありません。だから、何をどう褒めたらいいのかわからない。褒め方がわからないのです。
話を戻しますが、単純とは広辞苑によると、
①単一で他の要素のないこと。そのものばかりであること。純一。
②構造・機能・考え方などが複雑でないこと。こみいってないこと。簡単。とあります。
単純化とは、こみいってるものや複雑なものを簡単にすることです。
単純化が難しいのは、支援者側が複数の条件から答えを導き出す経験が豊富だからです。
支援での単純化の手順は、以下の通りです。
①行動を最大限細分化する。②細分化した行動の目的を把握する。③2択の条件を設定する。④支援を行い結果を評価する。
単純化で一番難しいのは、①です。
どうしても、一連の行動をひとつ枠の中に入れてしまうからです。
例えば、パニックを起こして自傷している子がいたとします。
この場合は、パニックと自傷は全く別のものとして考えます。
例えば、不登校の子が昼夜逆転した生活をしているとします。
この場合も、不登校と昼夜逆転の生活は全く別の問題です。
細分化できると、②の目的はわかりやすくなります。
先ほどの例で言うと、パニックがどうして起こったのか原因がわかれば、パニックが起きない対応が出来ます。
自傷は、注意喚起を目的としているのか、刺激なのか、回避なのか、要求なのかを判断すれば適切な対応が出来ます。
これをまとめて一つの枠に入れて考えてしまうと、問題の解決に時間が掛かってしまいます。
③も少し難しくなります。
2択の条件とは、〇か×か、するかしないか、AかBかの選択肢を支援者または本人に設定する作業です。
不登校の場合、学校に行くか行かないか。行くならいつから。行かないなら家庭での生活をどうするか。
昼夜逆転した生活は、続けるメリットがないのでさせない。という感じです。
ここで大事なことは、3つ目の条件を付けないことです。
3つ以上の条件があると複雑になり、支援が進むと条件がどんどん増えていきます。
条件が増えると支援の一貫性が崩れ、最初からやり直しになってしまいます。
3つめの条件を付けたくなったら、別問題として扱うか次の段階として扱うのが適切です。
④ですが、子どもの場合、正しい支援であれば反応はその場で返ってきます。
適切な反応があれば定着するまで一貫した支援を継続し、反応が鈍ければ①~③を見直しましょう。
長くやることに意味があるという人がいますが、本人にとって不適切な支援を長くやる意味は全くありません。
複数の問題に対して、一つの考え方や手法で対応しようとすることはよく見られます。
子どもは、反応や行動で大人の対応が間違っていることを教えてくれます。
問題が解決しないのは、大人が子どもから発信される、見えない言葉を見逃しているからです。
今日の話は、問題解決に向けて手順が増えて時間が掛かってしまいそうに見えますが、
経験上、急がば回れのこの手法が一番の近道です。